800万トンのプラスチックというと、具体的に何がどのくらいなのかイメージしにくいかもしれません。
例えば、一般的な自動車の重量は1トンから2トン程度です。つまり、800万トンのプラスチックは、自動車で言えば約4,000,000~8,000,000台分の重さに相当します。また、東京ドームが約55,000トンであることを考えると、800万トンのプラスチックは、東京ドーム約14,500個分に相当します。
海に流出する800万トンもの大量のゴミを削減することはできるのか?
海に流出する800万トンもの大量のゴミを完全に削減することは難しいと言わざるを得ません。しかし、私たちが積極的に取り組むことで、プラスチックごみを削減することは可能です。
まず、プラスチック製品の使用量を減らすことが重要です。ストロー、カップ、皿、箸、プラスチック袋などの一回限りの使い捨て製品は、その使用時間に比べて短い寿命を持ち、海洋プラスチック問題の原因となっています。これらの使い捨て製品をできるだけ減らし、環境に優しい代替品を使用することが大切です。
また、プラスチックごみを適切に処理することも大切です。プラスチック製品をリサイクルすることで、廃棄物の削減につながります。また、プラスチックごみを適切に分別することで、再利用可能なものはリサイクルされることがあります。さらに、ごみの不法投棄や違法な海洋投棄を減らすことも必要です。
環境に優しいライフスタイルを送ることや、周囲の人たちにも意識を広げることで、プラスチックごみ削減につながることもあります。私たち一人ひとりが積極的に取り組むことで、プラスチックごみを削減することは可能です。
世界中で取り組みが始まっている
世界各地でプラスチック製品の削減に向けた取り組みが進んでいます。具体的な例を挙げると、以下のようなものがあります。
プラスチック袋の削減・禁止
ヨーロッパ
- イタリア:2011年にプラスチック袋の使用が禁止されました。
- フランス:2016年からプラスチック袋の無料配布が禁止されました。
- イギリス:2015年にプラスチック袋の使用料が導入され、2018年からは全国的にプラスチック袋の無料配布が禁止されました。
- スペイン:2018年にプラスチック袋の使用が有料化されました。
- ドイツ:2016年からプラスチック袋の使用が有料化され、一部地域では禁止されています。
- ベルギー:2017年からプラスチック袋の使用が有料化されました。
- スイス:2016年からプラスチック袋の使用が有料化され、一部地域では禁止されています。
- オランダ:2016年からプラスチック袋の使用が有料化され、一部地域では禁止されています。
アジア
- インド:2016年にプラスチック袋の製造・販売・使用が禁止されました。
- 中国:2008年からプラスチック袋の厚みや使用量の制限が行われ、2018年には一部地域での使用が禁止されました。
- 台湾:2020年からレジ袋の無料配布が禁止され、有料化が導入されました。
- バングラデシュ:2002年にプラスチック袋の使用が禁止されました。この禁止令は、バングラデシュがよく見られるようになった川の堆積物を減らすことを目的としています。
- マレーシア:2018年にプラスチック袋の使用が制限され、一部地域での使用が禁止されました。2021年にはプラスチックごみの輸入を禁止する法律が導入されました。
- インドネシア:2019年にプラスチック袋の製造・配布が禁止され、一部地域での使用が制限されました。
- ベトナム:2020年にプラスチック袋の使用が制限され、一部地域での使用が禁止されました。
アフリカ
- ケニア:2017年にプラスチック袋の使用が完全に禁止されました。
- ルワンダ:2008年からプラスチック袋の製造・販売・使用が禁止されました。
- タンザニア:2019年からプラスチック袋の製造・販売・使用が完全に禁止されました。
- エチオピア:2019年からプラスチック袋の製造・販売・使用が禁止されました。
南米
- コロンビア:2016年からプラスチック袋の無料配布が禁止され、有料化が導入されました。
- チリ:2018年からプラスチック袋の無料配布が禁止され、有料化が導入されました。
- アルゼンチン:2022年からプラスチック袋の使用が禁止される予定です。
- ペルー:2019年からプラスチック袋の使用が禁止されました。
- ウルグアイ:2019年からプラスチック袋の無料配布が禁止され、有料化が導入されました。
- ブラジル:一部地域でプラスチック袋の使用が禁止されています。
北米
- カナダ:2021年から一部地域でプラスチック袋の使用が禁止されます。
- アメリカ
ハワイ州:2015年からプラスチック袋の使用が禁止されました。
シアトル市:2012年からプラスチック袋の無料配布が禁止されました。
カリフォルニア州: 2014年には、カリフォルニア州全土でプラスチック袋の無料配布が禁止され、有料化が導入されました。また、2020年には州内の一部地域でストローとプラスチック袋の使用が禁止されることになりました。 - メキシコ
メキシコシティ:2010年からプラスチック袋の使用が制限され、有料化が導入されました。
バハ・カリフォルニア州:2011年からプラスチック袋の使用が禁止されました。
オセアニア
- オーストラリア:各州でプラスチック袋の削減・禁止に向けた法律が導入されています。
- ニュージーランド:2019年からプラスチック袋の使用が禁止されました。
上記は一例ですが、 これらの例を見ると、世界中でプラスチック袋の削減・禁止に向けた取り組みが進んでいることがわかります。
ストロー、プラスチックカップの削減
日本でもストロー、プラスチックカップの削減に向けた取り組みが行われています。以下にいくつかの例を挙げます。
- スターバックスジャパン スターバックスジャパンは、2020年にプラスチック製ストローの使用をやめ、店内で提供するドリンク用には蓋付きのマグカップやストローレスカップを導入しました。また、同年には店頭のトレイにもプラスチックを使用しない素材に変更しています。
- タリーズコーヒー タリーズコーヒーは、2020年からストローを廃止し、ドリンクを飲むための蓋もプラスチックから紙製に切り替えました。また、2021年からはプラスチック製カップもリニューアルし、削減に取り組んでいます。
- マクドナルド マクドナルドは、2020年からストローの提供を廃止し、ドリンク用には蓋付きのマグカップやストローレスカップを導入しています。また、2021年からはプラスチック製のサラダ容器やスプーン、フォークも廃止し、代替素材に切り替えています。
- JR東日本 JR東日本は、2020年から新幹線や一部の列車でストローの提供を廃止し、代わりにプラスチックフリーのドリンク容器を提供しています。
- コンビニエンスストア コンビニエンスストア各社でも、プラスチック製ストローやカップの削減に取り組んでいます。例えば、ファミリーマートは2021年7月からストローの自動提供をやめ、ローソンは2022年にストローとプラスチックカップの提供を完全廃止する予定です。
- 東京ディズニーリゾート 東京ディズニーリゾートでは、2021年4月からストローとプラスチックカップの提供を停止し、再利用可能な食器やカップを導入しています。
これらの取り組みは、大手飲食店チェーンを中心に広がっています。また、自治体でも、ストローやプラスチックカップの無料配布を禁止する条例を制定する動きがあるなど、日本全体でプラスチック削減に向けた取り組みが進んでいます。
企業や自治体だけでなく、個人でもストローを持ち歩いたり、自分で使い捨てカップを持参するなど、身近なところからプラスチック削減に取り組むことができます。
プラスチック製品の代替品の開発
プラスチック製品の代替品の開発に関する事例をいくつか紹介します。
- バイオプラスチック バイオプラスチックとは、天然由来の素材を原料として作られるプラスチックのことです。例えば、トウモロコシやサトウキビから作られるプラスチックは、石油由来のプラスチックに比べて二酸化炭素排出量が少なく、環境に優しいとされています。
- 紙ストロー プラスチックストローの代替品として、紙ストローが注目されています。紙ストローは、紙を巻いたもので、使い終わった後は燃えるゴミとして処理できます。
- キャンドルウィックストロー キャンドルウィックストローとは、竹やステンレス製のストローの中に紐状のものを挿し、飲み物を吸うことができるストローのことです。再利用可能であり、環境に優しい代替品として注目されています。
- エコバッグ プラスチック製のレジ袋の代替品として、エコバッグが広く普及しています。エコバッグは、繰り返し使える布製のバッグで、レジ袋と比べて環境に負荷をかけることが少なく、プラスチック削減につながります。
これらの代替品の開発は、プラスチック削減につながるだけでなく、新たなビジネスの創造や技術開発など、様々な可能性を秘めています。
また、日本の企業や研究機関でも、プラスチック製品の代替品の開発に力を入れています。例えば、海藻や紙を原料とした容器や包装材の開発が進んでいます。
- 海藻を原料とした食品容器 日本の研究機関では、海藻を原料とした食品容器の開発が進められています。海藻から作られた容器は、プラスチック製品と比べて環境に優しく、自然分解性もあります。
- 紙を原料とした包装材 日本の企業では、紙を原料とした包装材の開発が進められています。例えば、リサイクル紙や天然素材を使用した包装材は、環境に優しく、リサイクルもしやすいため、プラスチック製品と比べて環境負荷が少なくなります。
- マグネシウム化合物を原料とした容器 日本の研究機関では、マグネシウム化合物を原料とした容器の開発が進められています。この容器は、プラスチック製品と比べて環境に優しく、自然分解性もあります。
これらの取り組みは、プラスチックごみの削減につながっています。私たちも、プラスチック製品の使用を減らすことや、代替品の活用を進めることで、海洋プラスチック問題の解決に貢献することができます。
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